まおとの出会いの話
まおに初めて会ったのは、2013年11月16日でした。
その日、とあるイベントに呼ばれ、六本木で昼間から酔っ払っていた私は、お開きとなったあともすぐに帰る気にならず、一緒に行った夫と友人たちを、ラーメンを食べて帰ろうと誘いました。
その会場からラーメン屋までの間に、おそらく六本木でもっとも有名だろうペットショップがあります。
私はそれまで、ペットショップにまったく興味が無いというか、狭いケージに小さな命を閉じ込め、見せものにし、金で売り買いするシステムを軽蔑していました。
もちろん、極論なのはわかっていますが、どうしてもそのイメージが払拭できずにいたのです。
だから、一度もペットショップに通ったこともなかったし、中に入ったこともありませんでした。
しかしあの日の私はなぜか、ラーメンを食べたかったはずなのに、ペットショップに行きたいんだと言って聞かず、強引に中に入りました。
そして、1頭目(犬種、色ともに記憶に残っておらず)・・・2頭目に目があったのがまおでした。
抱かせてもらうと、ちょっと赤みがかったふわふわの茶色い毛で、両手にすっぽりと収まってしまうほど小さな子犬。
運命といえば響きはいいですが、酔っ払った勢いとしか思えない、
「この子を他の人に飼ってほしくない」という考えが頭をよぎり、
「この子を飼います!!!」と、即決で宣言しておりました・・・。
その瞬間、可愛いね〜と撫でていた夫が、度肝を抜かれた顔になり、
「ちょっと待て、よく考えろ」と言った旨のことを言ってきたので、
「うるさい私が稼いだ金で買うんだ、文句はないだろう」と・・・。
金で命を売り買いするシステムが嫌いだと言っておきながらこのセリフ。
しかも、飼うにあたって絶対に協力をお願いしないといけない夫に対して、このセリフ。
でもここで諦めて帰って、もし他の誰かに飼われたら・・・それだけは嫌だ。
絶対に家に連れて帰る、と、もう半ば何かに取り憑かれているとしか思えない発想。
夫はこのとき、私にはもう何言っても無駄だろうと、それ以上反対するのを諦めたそうです。
かくして、出会いから数時間後には、まおは我が家へやってきてました。
動物愛護精神にもっとも反する「衝動買い」というタブーを犯した私。
しかも、今までペットを全く飼ったことがない、もっとも危険なタイプの飼い主。
しかし、絶対に飼育放棄はしないという、妙な確信が最初からあったのです。
それは、時間が経つにつれて、思い込みじゃなかったと感じています。
ただ、まおの運命は紙一重だったとも思っています。
たまたま周りの環境にとても恵まれて、私のわがままが押し通せて育てられてるんだと。
なので、まおが「この家に来なければよかった」と思うことが絶対にないよう、最初が無責任だった分、これからもいっそう責任持って育てていこうと肝に銘じています。
しょうもない飼い主の私が、いつも心にとどめている、「犬の十戒」
1.
私の一生は10~15年くらいしかありません。
ほんのわずかな時間でもあなたと離れていることは辛いのです。
私のことを飼う前にどうかそのことを考えてください。
2.
私が「あなたが私に望んでいること」を理解できるようになるまで時間が必要です。
3.
私を信頼して下さい……それだけで私は幸せです。
4.
私を長時間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないで下さい。
あなたには仕事や楽しみがありますし、友達だっているでしょう。
でも……私にはあなただけしかいないのです。
5.
時には私に話しかけて下さい。
たとえあなたの言葉そのものはわからなくても、
私に話しかけているあなたの声で理解しています。
6.
あなたが私のことをどんな風に扱っているのか気づいて下さい。
私はそのことを決して忘れません。
7.
私を叩く前に思い出して下さい。
私にはあなたの手の骨を簡単に噛み砕くことができる歯があるけれど、
私はあなたを噛まないようにしているということを。
8.
私のことを言うことをきかない、頑固だ、怠け者だとしかる前に
私がそうなる原因が何かないかとあなた自身考えてみて下さい。
適切な食餌をあげなかったのでは?
日中太陽が照りつけている外に長時間放置していたのかも?
心臓が年をとるにつれて弱ってはいないだろうか?などと
9.
私が年をとってもどうか世話をして下さい。あなたも同じように年をとるのです。
10.
最期の旅立ちの時には、そばにいて私を見送ってください。
「見ているのがつらいから」とか「私のいないところで逝かせてあげて」なんて言わないでほしいのです。
あなたがそばにいてくれるだけで、私にはどんなことでも安らかに受け入れられます。
そして・・・どうか忘れないで下さい。私があなたを愛していることを。